vol.03 北見市常呂エリアは食材がいっぱい!
トコたべレシピ集 しあわせ♥ところごはん
北見市常呂(ところ)は、畑も山も川も海もある、とりわけ食資源に恵まれた地域です。
小麦・馬鈴薯・甜菜の畑作三品を中心に、玉ねぎ・小豆・カボチャ他、多種多様な農産物や、
乳牛から搾る新鮮な牛乳、前浜で水揚げされるホタテ・サケ・カキなどの豊富な魚介類など、
まるでキラキラ輝く、食の宝石箱!
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そんな常呂から、1冊のレシピ本が生まれました。
地元で食べ継がれてきた料理や、地元食材を使った料理が50品掲載されています。
レシピ本を見れば見るほど、
美味しそうな常呂の地元料理が食べたくなるし、北見地方の食材を揃えて料理をしてみたくなっちゃいます!
レシピ本を作ったのは、常呂で農畜産業を営むイキイキとした女性達。
北見地方で食を生み出す女性達の、地産地消な活動を紹介します。
美味しい食べ物があり、ステキな人達が暮らす常呂の魅力をご覧ください!
畑や牧場が広がるオホーツクの景色
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オホーツクブルーと呼ばれる空の下に広がる、美しい田園風景。
四季折々のステキな風景がいつもここにあるのは、作物や乳牛などを育てる生産者の人達がいるから。
そして、その一役を担う女性農業者もたくさんいます。
常呂から食を生み出す女性達
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農業を営む女性の中には、農業経験も知識もないまま常呂の農家に嫁いだ人もたくさんいます。
かつて、農業未経験のお嫁さん達を集めて、 農業や暮らしに関する意見を交換する
“さくらフォーラム”が開かれました。
今まで交流することのなかったお嫁さん達はみんなの話を聞いて、
縁があって農家に嫁いだものの、辛いこともある、天災もある、仕事がキツイときもあるけれど、
同じような環境で暮らす同年代の人達がいて、辛いのは自分だけじゃないって思えたそうです。
この一回だけで解散するのはもったいない、これからも時々集まって何かしよう!と、
1995年、“ところよめさんねっとわーくさくらちゃん”(以下さくらちゃん)を立ち上げました。
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ものを知らないまま農業をしていて良いのだろうか…、もっと自分達でいろんなことを、学びたい!
さくらちゃんが最初に動き出したのは、
農業に関する基礎的なことを学ぶ勉強会、“ファーマレットスクール”。
プロである農業講師から農業の基礎を学んだことで、
意味も分からずやっていた農作業には全て理由があることを理解し、目からウロコが落ちました。
農家のお嫁さんから農業経営のパートナーになるために、
農業をもっと主体的にやらなきゃ!と、さらに前向きな気持ちを持つようになりました。
まちのみんなを巻き込み、食べ物を伝える
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まちの人達にも農業のことを知ってもらいたい、子供たちにも伝えていきたいとの想いも生まれ、
年に一度、農業・食・命がテーマの“さくらフォーラム”を開催。
写真は、地元の食材を使った「常呂の給食を食べてみよう」の様子。
農業関係者以外にも声をかけたところ、食や農業に関心のある人が参加するようになりました。
農家ではないまちの人達も、さくらちゃんの活動をサポートしてくれるようになりました。
地産地消の直売市!
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農業の良さや地元食材の美味しさ、素晴らしさを伝える活動のひとつとして、
毎年8月に開催している「ところ市」では、
メンバーが丹精込めて作る新鮮な旬の野菜や、自家栽培・自生している果実のジャムやソース、
地元の素材を使ったパンやお菓子を販売しています。
ジュニアカーリング選手権大会開催日だけ開店!かあちゃん食堂
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さくらちゃんと常呂の魅力は、生産加工している食べ物を直売しているだけではありません。
カーリングの聖地と呼ばれ、オリンピック選手を数多く輩出している常呂では、
カーリング大会も数多く開催され、参加する子ども達も大勢やって来ます。
冷えた食べ物を食べている子どもを会場で見かけるたび、
食材が豊富な“食のまち”と言われているのに、なんだかなぁ…と、かねがね思っていたそうです。
農業を拡げて様々な活動をしている全道の女性農業者を知ったこともあり、
新たな展開として、冬場の農閑期に温かな地産地消の料理を提供する食堂を開くことにしました。
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開店するのは、ジュニアカーリング選手権大会開催日のみ。
開店する場所は、会場の“アドヴィックス常呂カーリングホール”2階。
料金は、子どもが昼食代として払えるワンコイン(500円)。
たくさんの種類を提供することは難しいので、日替わりで1日1メニュー。
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食材は、メンバーが生産している野菜を持ち寄っています。
ホタテの稚貝やサケ等の魚介類は、漁師のお母さん達が提供してくれます。
賛同してくれるまちの人達も、サポート隊として一緒に活動しています。
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写真は常呂産ホタテの稚貝と地元野菜を使ったかき揚げ丼。
かあちゃん食堂の料理はとても好評で、回を重ねるうちに
魚介たっぷりのカレーライス、お豆とごぼうのハヤシライスなど、
オリジナルメニューも誕生しました。
丸ごと北見地方の食材で手作りされた料理は、とっても魅力的!
ジュニアカーリング選手権大会の応援や、観戦をしに常呂を訪れたときには、
かあちゃん食堂をチェックしてみてくださいね。
美味しい地産地消料理を味わうことができるかもしれません。
かあちゃん食堂から、さらに前進!
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かあちゃん食堂の料理が好評なことに加えて、常呂に若いお嫁さんやお母さんが増えたことで、
フキを採っても下処理の仕方が分からない、地元料理を知らない、作り方が分からない。
そんな声や場面を見聞きするようになりました。
かねてから、さくらちゃんの活動を形にしたいという想いもあり、
常呂で食べ継がれてきた家庭料理、地元食材を使った料理を次の世代へ伝えて残す
レシピ本を作ることにしました。
北見市まちづくりパワー支援事業の助成を受け、“トコロたべものプロジェクト”の事業名で、
さくらちゃんのレシピ本制作が始まりました。
常呂の味を集めて記録!レシピ本
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「みなさんのお宅で食べている定番料理を教えてください」と、新聞折り込みチラシを作りレシピを募集。
常呂の味や食材を未来へ残したいとの想いも記しました。
たちまちレシピは集まり始め、
まちのみんなもレシピ本を楽しみにしてくれていることを実感する機会が、たくさんあったそうです。
さくらちゃんメンバーの本業は、農業や畜産業。
家業と家事をこなした後の夜間や外仕事ができない雨の日に、レシピ本制作を行いました。
1年目はレシピ集め、2年目は季節や旬の食材を使い調理して料理撮影。
レシピの編集や試作、調理、盛り付けるお皿や布等の用意、
料理写真のセッティング・ライティング・撮影まで、全てメンバーが行いました。
美味しそうな料理がてんこ盛り!
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調理・撮影場所は、JAところ女性専用宿泊研修施設「ファーマーズハウスうえる」の研修室。
編集会議をする場所は、メンバーが自宅牧場の一画に建てた小屋の「にっこりハウス」。
水に濡れてもわりと強い紙質、ペーパーウェイトを置かなくてもピタッと開くホッチキス止め製本、
ワイドに見えるこだわりの判型等、調理する人の使い勝手にこだわりました。
仲間同士励まし合い助け合い家族の協力の元、印刷会社と校正を重ね、
2014年3月、ついに“しあわせ♥ところごはん”は完成!
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「私達は、農業という宝箱を持っているね」と、合言葉のようにさくらちゃんメンバーは話します。
農業を知り・学び・実践することが農業を次世代へ繋ぎ、地産地消の活動にもなる。
“農業・食・命”が全てのキーワードになっていると、
トコロたべものプロジェクト代表の那須美由紀さんが教えてくれました。
北見全域はもとより常呂にも、オホーツクの美しい風景と命を育む人々の姿があります。
常呂の直売店やスーパーには地元の食材や加工品が並び、
飲食店では地産地消料理を提供しています。
春夏秋冬、旬の食材や料理が楽しめる、常呂へ足を運んでみませんか?
取材・撮影協力
トコロたべものプロジェクト(ところよめさんねっとわーくさくらちゃん)
「しあわせ♥ところごはん」の購入・お問い合わせ
FAX.0152-54-3380
E-mail:mi-dream@phoenix-c.or.jp(寺町敬子)
1部700円(税別)
トコロたべものプロジェクトの活動はFacebookをご覧ください
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