vol.02 焼肉のまちから生まれた“きえ~る”!
モクモクの煙の中、焼肉を楽しんでも大丈夫!!
たらふく美味しく焼肉を満喫した後、衣類についた煙のニオイが気になること、ありますよね。
そんなときに試していただきたいのが、天然成分100%の消臭液“きえ〜る”。
使ったことがある方も、使ったことのない方も、
北見から発信する消臭液“きえ〜る”のお話をご覧ください。
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臭いが消えない!
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“きえ〜る”を製造しているのは、北見市端野町にある(株)環境ダイゼン。
窪之内 覚社長から、“きえ〜る”誕生秘話や、“きえ〜る”の中身について、お話を聞きました。
窪之内社長は、北見市の農家出身。
地元百貨店に24年間勤務していましたが、その百貨店が吸収合併された1年後、
友人の紹介で地元ホームセンターダイゼン店長として転職しました。
百貨店でしか働いたことのない窪之内社長は、百貨店がホームセンターをやったらと発想し、
大工道具にこだわらず、女性や子どもが使う物をと考え、東急ハンズさんを参考にしたそうです。
ある日お客様に、「どの消臭剤を買っても臭いが消えないぞ!」と怒鳴られたことがきっかけとなり、
お店のスタッフに聞いたところ、「自分たちもお客さんに言われるんです」と。
犬猫の糞尿、介護現場の臭いやトイレの消臭…。
「ちょっと待てと。大手メーカーの商品はみんな揃えてあるんですよ。どういうことだと」(窪之内社長)
代表的な商品を集めて、生ゴミで試した結果、消えない…。
匂いは付くけれど悪臭は消えない。これではお客さんが怒るのも無理がない。
じゃあ、臭いが消える商品を探そう!
それから展示会に行くたびに隅から隅まで2年くらい探したそうです。
でもね、全然ない。ないんです。
酪農家が持ち込んだ、茶色い液
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そうこうしているある日、地元酪農家の人が茶色の液をお店に持ってきました。
焼酎の空きボトル(4リットル)7本ほど。
「これを店で売ってくれないか」とのことでした。
これは何だと聞いてみれば、牛の尿を乳酸菌・酵母菌などのバクテリアに食べさせて分解した液だと話します。
キレイだし、川に流しても良い状態になっている液なんだと。
臭いを嗅いだら、まったく無臭。
「汚くないし、植物の活性剤になるから、園芸コーナーで売って欲しい」と話す酪農家さん。
農家出身の窪之内社長ですから、畑には良いだろうなっていうのは、想像できたそうです。
牛のおしっこだけが原料ですしね。
しかしながら、その頃の窪之内社長は、「悪臭を消す物」探しで、頭がいっぱい!
「これは臭いを消す力はないの?」なんて、この場面でも思わず聞いちゃったそうです。
その人は「わからない」と答えました。
「なんでこんなことやってるの?」とも、聞いたそうです。すると、酪農家さん曰く、
常呂川に牛のおしっこが流れ込み、土にも染み込んで大変な汚染になっている。
海まで汚れているっていうことで、テレビ局が取材に来たり大変なんだと…。
かつての、常呂川汚染問題
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北見市は、玉ねぎを中心とした農産物の生産や、酪農など、農畜産業が盛んな地域。
そして、オホーツク海へと注ぐ常呂川が流れています。
常呂川は農業用水として利用され、サケやマスが遡上するうえ、
河口の常呂エリアはホタテ王国と呼ばれるほど、日本有数のホタテ水揚げ量を誇る地域です。
そのような土地柄の中、牛の糞尿処理問題が発生。
悪臭のみならず、土中に染み込んだ尿の常呂川汚染が深刻化していました。
国も北海道も農協も、もちろん自分達(酪農家)も何とかしなきゃならないと改善の動きが始まり、
1999年には「家畜排せつ物利用促進計画」が策定されました。
たい肥舎、液肥化施設、尿溜めなどの施設が整備されるなか、
特に、北海道立農業・畜産試験場を中心に、糞尿処理技術の取り組みが重ねられていたのです。
茶色い液体の、底知れぬチカラ☆
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その取り組みの中から誕生した、この液体。
園芸には良さそうだなと想像できるものの、冬の長い北海道は園芸時期がとても短い。
そのうえ、この液をどうやって売ったら良いんだろうと頭を悩ませます。
「量り売りしたらどうだ」と言われたそうですが、「そんな売り方はあんたの焼酎代にもならんよ(笑)」と。
その人が帰った後、園芸のことはさて置き、空いているペットボトルにその液をどんどん入れて、
スタッフみんなに配り、消臭に効くかを各自、家で試すことにしたそうです。
そうしたら、これが凄かった!
汲み取り式トイレ、犬猫の糞尿、排水の悪臭、生ゴミ…。
「見事に臭いが消えます」との声が集まりました。
当時は茶色い液だったので、色が染みる素材にはテストできなかったそうですが、
なんだか分からないけれど、とにかく、悪臭が消えたのです!
「それで、“きえ〜る”って名前が付きました(笑)」(窪之内社長)
きえ〜る、登場!!
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ホームセンターのオーナーに、結果を告げて相談したところ、
「大手メーカーにこういう商品がないんだから、面白い」と、なりました。
隙間商売として、やってみようと。
根本的な悪臭は消すけれど、良い臭いは消さないってことにも気づきました。
例えば、花にかけても、花の良い匂いは消えない。
腐敗臭やアンモニア臭など、有機物から出るクサイ臭いに効きました。
原料の茶色い液を、透明と有色液に分離する仕組みを考案し、改良を加え、
物本来の匂いや、科学的に合成された匂いには反応せず、
有機物が酸化・腐敗して発生する悪臭にだけ反応する性質を持つ「バイオ酵素」が誕生。
その効果と安全性の検証を、日本赤十字北海道看護大学(北見市)や北見工業大学(北見市)、
帯広畜産大学(帯広市)に依頼したところ、高評価を得たそうです。
1998年、バイオ消臭液“きえ〜る”として商品化されました。
実体験に加えて、微生物学でも立証!
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その後、「前の年のプランターの土ってどうにかならんもんかね」とお客様から相談があり、
捨てるのも大変、新しく買うのも大変な園芸の土にも、このバイオ酵素を試してみました。
さらなる大学の研究で、このバイオ酵素は悪玉菌を減らし、善玉菌を増加させることが立証され、
窪之内社長自身も、自宅のプランターの土にバイオ酵素を使用し、6年間同じ土で園芸を続けたところ、
土が再生していることを、実体験できたそうです。
こうして、園芸部門では、液体たい肥「土いきかえる」として商品化。
農業生産者からは、連作障害の特効薬として評価されてきました。
公害の元が公害を制す、牛の尿からバイオ消臭液、“きえ〜る”誕生
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ペットを飼っている人や、介護の現場で臭いに困っている人が待ち望んでいた商品。
しかし、この画期的な商品を世の中へ広めるには、どうしたら良いのか…。
「公害のもとが公害を制す牛の尿から消臭液“きえ〜る”誕生」
窪之内社長は、ゴロの良い、言い得て妙なキャッチコピーを生み出しました。
当時は、牛の糞尿による公害が問題になっていた時期だったこともあり、
全道版の新聞に掲載され、全国版の情報番組などにも取り上げられました。
さらに、今までお付き合いのあった問屋さんが、「私達が売ります」と、申し出てくれました。
そのお陰で、道内や全国に販売先が広がったそうです。
協力してくれる人達がいなければ、世に出すのは難しかったと、窪之内社長は感慨深げです。
54歳の頃、ホームセンターの店長職を下り、同店内で“きえ〜る”の環境商品事業部を立ち上げましたが、
メンバーは窪之内社長1人。
商品内容や特徴を詳しく把握しているのも、窪之内社長だけでした。
バイオ酵素を連れて、独立。
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ぼちぼち定年が見えた頃、もし自分がいなくなったら、バイオ酵素を熟知している人がいなくなる。
何かあった時、説明をできる人がいないことが、懸念されました。
定年退職する際、窪之内社長はオーナーへ、「僕が“きえ〜る”の権利を持って出たい」と話したそうです。
退職金はいらないから、“きえ〜る”の権利をくださいと。
道内の他、全国にパラパラと売れていたこともあり、「“きえ〜る”を使ってかぶれた」などと万が一言われた時、
商品を詳しく説明できないと対応できないことを伝えたところ、了承を得ることができました。
2006年、友人達の出資の助けを得て、新会社(株)環境ダイゼンを設立。
はじめは、ホームセンターダイゼン駐車場の一部を借り、プレハブ4棟、従業員3人のスタートでした。
原料となる液を地元の酪農家5戸から調達し、自社工場で精製・瓶詰め作業等を行います。
バイオ酵素の商品は、洗濯用の“きえ〜る”や、置型タイプ消臭剤など、徐々に増えていきました。
2011.3.11 東日本大震災
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東日本大震災発生後、日本赤十字社の救護隊は、すぐに現地入りしました。
未曾有の被害のなか、水を使えず、洗濯や入浴もできないため、何か臭いを消せる消臭剤はないかとの声が多くあがります。
北見赤十字病院と日本赤十字北海道看護大学から派遣されていたスタッフが、
「北見市には、“きえ〜る”という商品があり、
介護の消臭液として看護大学が研究しているその商品なら、臭いを消せるかもしれない」と提案。
バイオ酵素の研究をしている根本先生を通じ、日本赤十字社からの連絡を受けて、
支援物資として「きえ〜る室内用透明液」と、仮設トイレ・排水・生ゴミ用の「きえ〜る屋外用」を寄贈。
震災から2ヶ月後には気仙沼市、石巻市等、漁業関係の冷凍倉庫から流れ出た魚の腐敗臭や、
冷凍庫内の腐敗臭の強さが連日報道されたのを受け、それぞれにサンプルを寄贈。
被災地の皆さんから、上々の結果報告を得たそうです。
道内、国内、そして世界へ!
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2012年には会社を現在の場所に移転し、製造規模を拡大。
社員も増えました。
天然成分100%の底知れぬチカラを持つバイオ酵素は、現在、さらなる注目を浴びています。
魚の腐敗スピードを落とし鮮度を維持しつつ、悪臭も除去できるため、漁業者や釣り人にも好評で、
活魚や養殖の水槽にも活用され始めています。
大手自動車メーカーでは、中古車の生活臭やエアコン臭の消臭剤として使われました。
液肥としては、道内・国内のみならず、世界へも拡がりを見せ始めており、
疲弊した土壌を再生する可能性を求めて、世界各国から視察団が来たり、
相談を受けて海外へ視察に行ったりと、息子さんの窪之内 誠専務と共に、
窪之内社長も、東へ西へ駆け回る日々です。
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現在、東急ハンズ各店舗で先行販売している、「きえ〜るUシリーズ」のパッケージデザインは、
地元を大切にしたいとの想いから、北見のデザイナーに依頼しました。
日常生活に溶け込む、清潔感のある白のボトル。
スプレーの噴射、ゼリーの蒸発スピード、ラベルの質感など、使い勝手にとことんこだわり企画しました。
2017年9月から、徐々に道内の販売店でも、新シリーズが並ぶ予定です。
地元の牛の尿が、常呂川や土壌を汚してしまいましたが、
失敗と向き合い、改善していく取り組みの中から、バイオ酵素の原料が生まれました。
窪之内社長は、縁あって茶色い液と出会い、善玉菌のチカラを知り、新しい商品として世に送り出しました。
今日もどこかで、誰かのお役に立っていることでしょう。
バイオ酵素の商品が役立ち、売れれば、原料を製造する酪農家の数も増えて収入につながります。
公害だった牛の尿は、自然だけでは生まれない、人間だけでは作れない、魔法の液になりました。
“きえ〜る”には、出会いの物語がいっぱいありました。
取材・撮影協力
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(株)環境ダイゼン
北海道北見市端野町三区438-7
電話 / 0157-67-6788
【定休日】土曜、日曜、祝日、年末年始
http://kankyo-daizen.jp